汚れた街の、穢れなき子供たち

退廃の街シャーロック・タウンで、チルドレンと呼ばれる少年少女は日々デスゲームに身を投じる。
まだ成熟しきっていない彼ら彼女らが命を懸けて魅せる遊戯は、残酷だけれどもどこか儚くて切ない。

それは、鮮やかに描き出されるキャラクターたちが驚くほどに魅力的なせいだろう。特に主人公のナキ、そして彼女を慕うウタのいびつな関係は、大人の目から見れば明らかに歪んでいるのだけれど、読み進めるうちにどこか清廉で尊いものに思えてくる。

特殊な環境で育ち、他人を出し抜きながら生きざるを得ない子供たちの、したたかでありながら脆く繊細な思いの数々。
映画のように綴られる少年少女たちの物語を、その終わりまで見届けずにはいられない。

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