かくして少女は銃を握る

シャーロック・タウン。
東京の最果ての街。公文書上は、ただのゴミ捨て場。しかしてその実態は、東京屈指の歓楽街。
そんな退廃都市で繰り広げられるのは、少年少女のデスゲーム《遊戯》。
こういう擦り切れて薄汚れた舞台が好きな方は少なくないと思う。
ともかくここまでで興味をもった方は一幕No.12の歌えないナキ、までは読んでもらいたい。

主人公・ナキは、《遊戯》に参加するシャーロック・チルドレンのなかでも一番の稼ぎ頭だ。
こんな狂った世界で、それでもナキは人一倍、心優しい子だったのだと思う。傷つけられる子に迷いながらも手を差し伸べ、できることなら人の傷つかない道を選ぶ。たとえその結果自分がどれだけ、傷を負ってもしかたない、というように。
心優しい少女は銃を握る。《遊戯》のなかで、躊躇いなく人を殺す。
そうすることで、守るものがあると信じているように。

それでもいつか、ナキは大切にしていたものへと銃をむけるのだろう。
きっとこれは、いつか殺し殺される、そんな歪な愛の物語だろうから。

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