化かしあう物語。

 この物語の冒頭を読み進めていった時、一読者として感じた印象を素直に述べると、題材と主人公、二人のヒロインの配置から、某有名な長くTVアニメ化されているシリーズを想起しました。これは本作に触れた読者の少なからずが受ける共通認識ではないかと考えます。しかし、それだけにイメージしやすいということは内容を読み手が脳内でビジュアル化しやすいという利点を持ちます。
 そして、物語本編も最初は怪しげな怪奇譚として始まり、主人公の過去へと触れる展開から、ある種の青春物へと変転していきます。このまま、主人公たちは奇妙な三角関係を構築するのかと予想した辺りで、物語は大きく動いていきます。
 狸寝入りを決め込んでいる主人公と女狐のようにせわしくなく動き続けるヒロインたち。そして最後に嗤うのは……。
 と読み応え十分の伝奇アクションを堪能してください。
 犬が笑うほどの上質なエンターテイメント作品であると評価いたします。

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