何もない、しかし『何もない』という己の存在がある

全てを失い、最後の楽園としてとある無人島にやってきた一人のおじさんが、様々な怪神と戦を交えて捕らわれた女性を救出し、彼女達と協力し合いながらまた次の怪神へと挑んでいく、サバイバルアクション。

しかし、悍ましい姿をした怪神『マトゥアハ』達は姿形だけでなく、それぞれ知性と個性を兼ね備え、主人公達を苛みます。

アクションシーンは息を飲む緊迫感と迫力に満ち、手に汗握ること間違いなし!

また動の部分に限らず、静となる『おじさん』の心情描写にも胸が締め付けられます。

人間は社会という枠にあってこそ人間として認められる、けれどそこから外れた者は?

社会に弾かれ、壮絶な怪神との相剋によって初めて生を見出した『おじさん』――死ねばそれまで、しかし生き残ってしまったら?

素晴らしいアクションシーンを楽しむと同時に、『生きる』とは、『人間でいる』とは何なのか、様々なことを深く考えさせられました。

五感と心に強く響く、最高の作品です!

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