自分のちょっとした行動の矛盾に自己嫌悪してみたり、それを解消するために少しの偽善的な行動を取るのが、人間っぽくて素敵です。
この路線の作品、自己言及と自分を突き放すような客観視の並行を芸とする文章は、すごく好きな分野です。牧野信一と近い位置にあると思う。
ねっとりとした……と言えば失礼だろうか。藤九郎さんの文章は、さらりと読んだあとに、ゲル状の感情がドロリと覆い被さってくるような感覚を覚えさせる。それを魅力的だと感じる人は少なくないはずた。心の中を、ぐづぐづとかき混ぜられた後には、何か新しい清々しいものが私の中に生まれる。そして、もう一度読み返す。
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