血に深層、一筋縄ではいかないストーリー。この世界に、付いて来れるか。

 キリキリと、張り詰められていく空気を漂わせながら語られるのは、常識という真面な感性が重要とされていなければ、そもそも必要もされていない、人の意識奥深くに眠る、深層の世界。そこへ潜る力を持つ、常に冷静で時に熱い最強の主人公が、ある事件の真相を探ろうと動き出します。

 こちらもぶっ飛んだ相棒と共に、人の意識から意識へ駆け回る主人公のその様は、容赦の無い血と破壊、死に塗れておりながら、何ともクールで目が離せません。次から次へと顔を出す謎に、そもそもの発端である、あの凄惨な事件とは何なのか。それらとアクションが加速し合い、結末というゴールの前に一つになって走り抜けていくその様は、圧巻の一言。一歩踏み外せばオシマイなヒリヒリ感さえ、物語の全てを冷静な視点で描き切る作者様の文章は、鋭いナイフのようだと感じました。


 ――「クール」の一言なこの物語、是非皆様も、ご一読。

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