5000人もの死者を出した「真波事件」
その真相を探るため、昏睡状態の被害者達の深層意識に潜行(ダイブ)する能力者・瀧神玲と、相棒の麻莉。二人がたどり着く先は――?
衝撃的なオープニングで幕を開けたかと思うと、謎に囚われ、最後まで一気に読み進んでしまいます。
途中のアクションシーンは、まるでハリウッド映画を小説化したかのよう。
映像喚起に優れた描写で綴られたアクションシーンは、ど派手で格好良くて、一読の価値ありです!
特に、ラストまでの怒濤の流れは秀逸の一言。
そして、これまでとは少し趣の異なる最終話。
息もつかせぬ物語を、ぜひ味わってください。
キリキリと、張り詰められていく空気を漂わせながら語られるのは、常識という真面な感性が重要とされていなければ、そもそも必要もされていない、人の意識奥深くに眠る、深層の世界。そこへ潜る力を持つ、常に冷静で時に熱い最強の主人公が、ある事件の真相を探ろうと動き出します。
こちらもぶっ飛んだ相棒と共に、人の意識から意識へ駆け回る主人公のその様は、容赦の無い血と破壊、死に塗れておりながら、何ともクールで目が離せません。次から次へと顔を出す謎に、そもそもの発端である、あの凄惨な事件とは何なのか。それらとアクションが加速し合い、結末というゴールの前に一つになって走り抜けていくその様は、圧巻の一言。一歩踏み外せばオシマイなヒリヒリ感さえ、物語の全てを冷静な視点で描き切る作者様の文章は、鋭いナイフのようだと感じました。
――「クール」の一言なこの物語、是非皆様も、ご一読。
ラストの怒涛の展開までに積み上げられた序盤の流れが今となっては懐かしい。
至る所から血の臭いが漂ってくるので読み手を選ぶかもしれないけれど、逆にサイコホラー好きな方は必見です。
謎解きの伏線も嫌味がなく、すっと腹落ちします。
ただ、人がいっぱい死にます。これでもかというくらい死にます。とりあえず5000人からスタート、という感じで死にまくります。それも惨殺。読んだら夜寝られなくなるとかはないけれど、主人公も善とか悪とかあまり気にしない方なのでズバズバプシューっていきます。ハイスピードマーダーです。おまけにヒロインもチートで脳のネジが飛んでるという……
読後感は、そうですね、まだ少し血の臭いがするかな(笑)。
とある地方都市の駅で多数の死傷者を出した『真波事件』。
史上最悪のテロと呼ばれるこの事件には、驚愕の真相が隠されていた。
解明に挑むのは、人の深層心理の世界に入り込む力を持つ潜行者(ダイバー)、瀧神玲。
常にクールに、時には熱くなる彼が、深層の中で探索・調査・捕縛、あらゆる難関に挑みながら事件の真相を手繰り寄せ、やがてある人物が浮かび上がる。
見どころはやっぱり「深層」ならではの攻防戦!
人を操ったり物質を変化させたり、見えない相手と互いに牽制し合う序盤から、潜行者同士の高度な知略戦に至るまで興奮が止まりません。
読んでいる間ずっと、頭の中で緊張感のあるBGMが流れ続けていました!(具体的に言うとハンス・ジマーっぽい曲とか)
練り込まれた設定と重厚な物語が魅力の作品ですが、魅力と言えば戦闘模写は外せません。とにかく舞台の特性を存分に活かした、派手なシーンがとにかくすごい。割れて飛び散るガラスの破片の動きや、迫り来るトレーラーの迫力などを体全体で感じます。
応援コメントでの読者様の考察も含め、ウェブ小説ならではの楽しみも味わえました。
映画のように一気見するも良し! じっくり考察しながら読むも良し!
正月は映画でも借りて過ごそうかと思っていましたが、この作品を読んで正解でした!
読者の視線は、主人公・玲の視線。物語を俯瞰して見るというより、玲の目を通してまさに彼と体験を共有している。そんな気持ちにさせてくれる作品です。話の展開だけでなく文章そのものに漂う緊迫感が、読者を玲の潜る『血海』へと引きずり込みます。
玲が才色兼備の相棒・麻莉とともに、『史上最悪の血の惨劇』の真相に迫っていく、そのジリジリ感が堪らないです! いったいラストにどんな真実が待ち構えているのか!
玲の能力は、人の深層世界へとダイブする『潜行』。そのほかにも『刷り込み』『曳航』などの能力が出てきますが(玲の活躍を通し、それぞれがどんな能力なのかを知るのも、この作品の楽しみのひとつですよ!)、人の心層、すなわち心の深い部分、あるいは脳内世界に働きかける能力というのは、火や水を操ったり、瞬間移動したり、千里眼だったりって異能よりも、私にははるかに身近に感じられて恐いです。だからこのお話は、リアリティがじわじわとどこまでも迫ってくる、近未来ホラー作品だと思うのです。
女性読者さんへ。玲はカッコいいです♡ たぶん、クールビューティー。地面とか柱とかに手を置いて能力発動する時とか、たまにでいいから黒いロングコート着てやってほしい(そんな設定はありませんが)。