緊迫感溢れるアクション・ホラー! 戦いは深く静かに潜行する!

 読者の視線は、主人公・玲の視線。物語を俯瞰して見るというより、玲の目を通してまさに彼と体験を共有している。そんな気持ちにさせてくれる作品です。話の展開だけでなく文章そのものに漂う緊迫感が、読者を玲の潜る『血海』へと引きずり込みます。
 玲が才色兼備の相棒・麻莉とともに、『史上最悪の血の惨劇』の真相に迫っていく、そのジリジリ感が堪らないです! いったいラストにどんな真実が待ち構えているのか!
 玲の能力は、人の深層世界へとダイブする『潜行』。そのほかにも『刷り込み』『曳航』などの能力が出てきますが(玲の活躍を通し、それぞれがどんな能力なのかを知るのも、この作品の楽しみのひとつですよ!)、人の心層、すなわち心の深い部分、あるいは脳内世界に働きかける能力というのは、火や水を操ったり、瞬間移動したり、千里眼だったりって異能よりも、私にははるかに身近に感じられて恐いです。だからこのお話は、リアリティがじわじわとどこまでも迫ってくる、近未来ホラー作品だと思うのです。
 女性読者さんへ。玲はカッコいいです♡ たぶん、クールビューティー。地面とか柱とかに手を置いて能力発動する時とか、たまにでいいから黒いロングコート着てやってほしい(そんな設定はありませんが)。

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