日々進化するAIが様々な職業に影響を与えるニュースが、あちこちから洩れ聞こえてきます。小説家だって例外ではないでしょう。私はそちら方面にはあまり明るくないので、
「AIってどんな小説を書くのかな?」
などと、ただぼんやりと考えているだけでした。
そんな私の疑問にひとつの答えを見せてくれたのが、作者の常陸乃ひかるさんです。
常陸乃さんとChatGPT-4oが、同じ設定で短編を書くというドキドキな試み。
私はまず設定にしっかりと目を通し、一章ずつ両者を比べながら読んでみました。とても興味深かったし、とても面白かったです。
以下、私の感想です。
AI版はすらすら読める=読みやすい、かつ、物語的破綻もない。だけどなんだか物足りませんでした。登場人物に人間臭さがないというのか、物語から醸しだされる色とか匂いとか音とか、そんなものがあまり感じられないというのか……。その点、常陸乃さん版は、主人公たちも彼らの会話も描かれる風景も生き生きとして、読んでいる私の肌身に迫るものがありました。たとえば主人公の姿形を頭のなかで思い描こうとすると、AI版と常陸乃版とでは別人のように思えますもの。
両物語の結末が違った形で結ばれるのも、また面白い。
今のところ執筆に注がれる人間の創造力と情熱にAIは勝てない気がします。
この先、AIがもっともっと進化した時は━━━。
できることなら人間の小説家と共存できる形での素敵な未知のステージが幕を開けてほしいな。