血と春の聖歌

作者 田所米子

ホーリープリンセスセレーヌはかけられた呪いを解くことができるか?

  • ★★★ Excellent!!!

キャッチコピーにマザコン、とありますが、主人公セレーヌとその母親の関係は実に複雑です。読む人によってはセレーヌの抱く感情のあれこれに違和感があるかもしれませんが、そうと感じられるのはもしかしたらご自身のお母様との関係が「正常」だったおかげかもしれません。
古くから母と娘の関係は難しいと言われてきました。しかしセレーヌとその母の関係は関係と呼ぶことすら難しく、セレーヌにはいっそまったくなかった方が幸せだっただろうというほどの記憶しか残されていません。それが長らくセレーヌを苛み続けていました。まるで呪いをかけられたかのように。

13歳のセレーヌの世界は小さな箱庭のような修道院での暮らしで作られていました。その箱庭から放り出された時、助けてくれたのは王子様ではなく死刑執行人という忌み嫌われている職業の青年フィネでした。
しかしフィネはセレーヌに修道院での外の平穏な暮らしを与えてくれます。そして悩み苦しむセレーヌを包み込み、優しく癒してくれます。彼の言動のひとつひとつが、血まみれだったセレーヌの心の傷をひとつひとつかさぶたに変えてくれます。

でも、セレーヌとフィネ(とフィネの母親でありセレーヌにとったら姑に当たるミリー)の平穏な暮らしはただでは続けさせてもらえません。
セレーヌには忌まわしい出生の秘密があり、彼女には邪悪な王子様と対峙して母にかけられた呪いを解かねばならぬ宿命があるのです。
彼女の呪いは解けるのでしょうか? いつ、誰の手によって? そして邪悪な王子様を無事倒すことはできるのか?
セレーヌの行く末をどうぞ見守ってください。

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