第9話 全軍突撃! 我に続け!!




 さて準備は整った。アイーシャ姫には4勇士の一人魔女イサドラを護衛に付け、俺は他の三勇士を伴ってルフツ砦から出発した。ルフツ砦には俺を見送りたいという名目で反対派の貴族たちも集まっていたが、気にせず出発する。

 勿論それは偽装だ。

 部隊を幾つかに分け進軍方向をバラバラにさせ、自分たちにすら自分がどこにいるかをわからないようにさせる。進路変更は刻限が来たときにのみ開いて良い指示書に書いてあるだけで、部隊の全容を把握できるものは俺以外に誰もいない。

 ちなみに俺の部隊はひっそりと反転し、ルフツ砦に戻っている。部隊の実質的な指揮は三勇士に任せ、アイーシャ姫を都合の良いタイミングで助ける予定だった。

 砦内の状況は刻一刻と通信機からグラフィス経由で届けられる。現状では王女は無事らしいので、俺は部隊をだく足で進ませる。

「さて、お前たちに一言言っておくことがある。今回の戦争は、国内の貴族共が俺を殺すために国を売ってまで敵をおびき寄せた罠だ。もちろん俺はそんな罠で殺されるつもりはない。今向かっているのは売国貴族共がいるルフツ砦。知っているだろうがあそこには俺の婚約者のアイーシャ姫がいる。売国貴族共はアイーシャ姫のことも害そうとしているらしい。さあ勇者ども、お姫様が悪い賊に狙われているぞ。どうする!?」

『助ける!!』

「敵はどうする!?」

『切り伏せる!!!』

「いいぞ勇者ども!! 全速前進! ルフツ砦に戻ってお姫様を助けろ!!!」

『おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!』

 丁度その頃、不平貴族共は魔女イサドラの操る絡繰人形、機工騎士を相手に死線を繰り広げている最中だった……。



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二代目日帰り勇者の苦悩 碧風樹(あおかぜいつき) @ituki-aokaze

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