蝉の声が降るたびに。

一文字でも読み落とせばこの物語世界からはぐれるんじゃないかと思わせるような文章だと感じました。すべての言葉が意外な繋がりを持って着地しているような。
読んでいてとても心地よかったです。

真正面から見える顔でなく、輪郭や影の側から描写されて浮かび上がる人物造形。最終的に主人公がその人物に対して抱いた印象が、このお話に「恒久的」ななにかを付け足しているように思えました。
主人公が引き続き抱えていくだろうそれを、こちらまで背負わされてしまったかのような感覚。
作者さまの筆運びにやられました。

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蝉時雨に沈む

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