雄大な大自然を貫くただ一本の道と、砂煙を撒いてひた走る4WD。
ラジオから流れるオールドロック・ナンバー。
散りばめられた謎がその遠景をぼかしていくロードムービー。
小川のせせらぎと森の匂いを運ぶ風の吹く、山奥の集落。
都会の華やかさと、漠然とした大人のイメージに憧憬を抱く少年少女。
淡く、儚く、時に苦い。それでも確かに鮮やかな輝きを映す青春ストーリー。
きらびやかなネオンサイン。
大人になって手にしたものと、失ったもの。
眩い光と濃い闇の中にうっすらと血の匂いが薫るクライムサスペンス。
次々と舞台を変える物語の中には、いつだって彼女がいた。
記憶の中の、忘れえぬ女。
捩じれて、混ざって、裏返る。
これは、一人の女の数奇な人生と、彼女の影を追う男の縺れ合った運命の物語。
「JCルックじゃロリ度が足りない」
そんな男の物語。
タイトルの意味が気になる本作。
物語は、大学生のリョージが、友人の誘いで、半ば強引に渡米することになる場面から始まります。この友人が女性です。女子大生。強引だけど元気でかわいいかんじの女子です。女子と二人旅、INアメリカ、ですよ。なんだよ、リア充かよ、って。しかしそう楽しい旅でもなさそうで……。
で。このリョージくんはですね。なんだかんだの旅の末に、この強引女子といい雰囲気になってカップル成立か、そうなんだろ? とゲス予想してたら、あんた。
彼女持ちだと発覚するんですよ。
貴様、腐れ外道か、と思うんですが、いやべつにね、浮気旅行じぇねーから、行きたくてついて来たわけじゃねーから、親御さんにご挨拶じゃねーっからっ、てなもんで、やましい気持ちは微塵もありません。本人はそう言い訳してます(疑いの目で読み続ける読者)。
そしてなんやかやあって、物語の舞台は遡りまして中学時代です。
視点がリョージから友人に移動します。幼馴染です。
女子です。この子も明るく真面目な雰囲気の少女です。
で。またこのリョージは腐れ外道……なのは他にいるんですが、モテてやがります。こいつは無自覚たらしなんでしょうね。
で。さらに物語は進み、リョージは社会人になっています。
彼女持ちです。ドライブデートしてます。うまくやってますよ、彼は。
しかしそこでまたこいつは、幼馴染と連絡をとり、都会の垢ぬけた女性になった彼女とカフェで会うんですよ。
腐れ外道が……は、やっぱりまたべつにいるんですが、無自覚ハーレムを形成しており、舞台は再びアメリカへ……。
さて。本作はシリアスです。
鬼シリアス、略して鬼シリ。節分にちなんだんじゃありませんよ、タグにありますから。作者公認ですから、鬼シリ。そう、鬼シリなんです、本作は。
しかしなぜかリョージに対して「お前、結局誰が好きなんだよぉぉぉぉ」という視線が抜けない読者がここにいたんですが。……いたんですが!!
エピローグ。もう全部持ってかれました。
リョージ。お前、いい奴やん。泣ける。その選択、最高です。
あ。だからって結末から読んではいけません。この感動はやっぱ最初から読んできた積み重ねなのですから。ロリに泣く。そんな日が来ます。
物語は、大学二年生のリョージくんが女友達のスズカにアメリカへの同行を求められるところからはじまります。
スズカとの会話からリョージの脳裏によみがえってきたのは中学時代の先生のこと。
謎の奇病。未来のカタチ。時間の流れ。絡みあうそれぞれの思い。
時の流れには逆らえない。
読み終えた瞬間浮かんできたのは、そんなあたりまえのような感想でした。
シリアスなテーマを軽妙な語り口で描ききった青春サスペンスミステリー。
ラストにたどりつくとまたもう一度頭から読み返したくなる。あの時のあれはこういう意味だったのかという『なるほど!』がたくさんつまった物語。
切なくてあたたかくて清々しい読後感もぜひ体験してみてください。完結しましたので、一気読みもできますよ!
まず最初にお伝えしなければならないのは、本作はシリアスだということ。こんなレビュー読み飛ばそうと思った方も、とりあえずそれだけは頭に入れておいてください。タイトルだけで中身を想像してから読み出すと、全然違うお話が始まります。
大学生のリョージは、友人のスズカと一緒にアメリカに行く。その目的は、彼女がとある病気で療養中の母親に会いに行くので、その付き添い。
そう。リョージにとってはあくまで付き添いで来ただけであって、スズカの母親やその他の知り合いの事情も、少し距離のある話。なのですが、そこはかとなく感じる不穏な空気は、間違いなくシリアスそのもの。
えっ。それならどうしてこんなタイトルにしたのか、タイトル詐欺じゃないかって?
いえいえ。何もふざけてこんなタイトルにしたわけではありません。むしろこれこそが本作にふさわしい。そんなベストなタイトルなのですよ。多分。
嘘だと思う方はとりあえず読んでみて、本当にシリアスなのか、タイトル詐欺じゃないのか、自分の目でお確かめください。
タイトルを見て、小さい女の子をヒロインとしたラブコメを想像した人は多いはず。だけど残念、タイトル詐欺です。
これはある奇病にまつわる、シリアスなお話なのです。
だったらどうしてこんなタイトルをつけたのかって? 自分も最初は不思議に思っていましたよ。
だけど読み進めているうちに、そういうことかと納得しました。思い返せばこのお話、後から重大な事実に気づかされる事が本当に多い。
第一章では主人公のリョージが友達のスズカに強引に連れられて、アメリカ旅行に行くのですが、第二章ではそんなリョージの高校時代が描かれていました。
第一章と第二章では、世界観は共有しているものの、時間もリョージ以外の登場人物も大きく異なっています。
第一章を読んだ直後だと、第二章を描くことにどんな意味があるのか分からなかったのですが、読み進めているうちに意外な所で話が繋がっていたことに気づかされ、まるでバラバラだったパズルが合わさったような気持ちになりました。
この構成力は、本当にお見事です。
謎とハラハラが詰まった、サスペンスミステリー。
あなたも読んでタイトルの意味を、確かめてみてください。
女友達のスズカから、突然、アメリカへの里帰りについてきてほしいと言われた大学生のリョージ。
否応なしにスズカに連れ回される彼はやがて、スズカの秘密の一端を知る。
が、それは同時にスズカとの別れを意味していた。
時もところも変わっての日本の前箸村。
女子中学生の由紀恵は、幼なじみのリョージを夏祭りに誘ってほしいと友人に頼まれ、悩んでおり……。
日本とアメリカ。大学生と中学生。
一見、まったく異なる二つの物語はやがて……。
秀逸な構成で描かれる物語を堪能できます!(≧▽≦)
タイトルの意味を知った時には、思わず声が出てしまうハズです!
物語はただいまクライマックスへと突入したところ!
どうぞ、物語の辿り着く先をご自身の目でお確かめくださいませ~!(≧▽≦)