第六項 器のデカさは世界のデカさ
よく『器が大きい』という表現をされる人がいます。
その人はどのようにしてそうなれたのでしょうか。
人の上司となった以上、大きいとまでは言われずとも、せめて小さいとは言われないようにしたいものですよね。
著者はこの器の大小が、その人が保持している世界観の広さにリンクすると考えています。
問題はこの『世界観』とは何か、という点です。
実際に世界を見て回ったかどうか、という事ではないと思います。
実際に世界を見て回る事によって広がる世界観も多い事でしょうが、器量に反映する世界観とは少し違う気がします。
器量に反映する世界観とは、その人が『体験した格差』だと考えています。
人生経験が豊富、なんて言い方もされると思います。
男女の差。
年齢の差。
体格の差。
教育の差。
才能の差。
貧富の差。
人種の差。
国家の差。
民族の差。
他にも色々、思いつく全ての格差。
どうにもならない理不尽な、覆いしようのない壁。
努力や根性ではどうしようもない、絶対的な差。
そしてその格差を、様々な分野で体験してきた人間。
世の中が全くもって公平ではない事を、しっかりと身につまされてきた人間。
そしてそれでも尚、それを糧として成長し、人は逞しく生きていくのだと知った人間。
なんだか大きそうな気がしませんか?
流石にそこまで大層な人は多くないでしょうが、実際にご自身がどれだけの格差に触れて来たか思い返してください。衝撃を受けるような、ご自身の人生に重い意味を投げかけるような、そんな格差をいくつ体験しているでしょうか。
見た、知った、ではなく、体感したかです。さらに言えば、いくつ体感してきたかです。
こういった重い格差をいくつも体験している人には、日々の生活や業務で頻発する齟齬や過ち等が実に小さい出来事になる。小さいから軽視するという事ではなく、わざわざ大事に捉えて騒ぎ立てるような事はない、という認識でしょう。
どーんと構え、落ち着いて処理すればいい。
そう言ってくれる器の大きい上司に出会ったのならば、是非、飲みに行った席で聞いてみて下さい。
どんな強烈な格差を、どれだけ体験してきたのか。
参考になると思います。
これはとても大切な事です。
人間は人から聞いた話でも自分が体験した事のように感じる事が出来る、不思議な能力を備えているのです。
小さい事で一喜一憂して周囲を振り回すような、器の小さい上司になっていませんか?
例えば部下が仕事の納期を守れなかったとします。
そこで怒っても仕方ありません。
叱りつけても仕方ありません。
先ずは遅れた事をどう取り戻すのかを一緒に考え、必要であれば一緒に取り組む。
それでも取り戻せない事が判明した時。もしくは遅れを取り戻す事が出来た時、そこで初めてこんこんと説教してやればいいじゃないですか。
大事なのは怒る事でも叱る事でもなく、仕事に取り組む事の筈です。
その部下の仕事が遅いという小さな格差など、多くの強烈な格差に比べればどうという事もない。
そう思えるようになりましょう。
上司になる才能。
先ずは自分が尊敬する器の持ち主に接近し、話を聴きましょう。
その人が体感してきた沢山の『強烈な格差』の話を、疑似体験させてもらいましょう。
そしていつしか、自分も『器の大きい人』だと言われるようになりたいですね。
ここでひとつ、私の体験した強烈な格差のお話を。
……と、これは飲みに行った席で。
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