上司になる才能、部下になる才能。

犬のニャン太

上司になる才能

言葉で伝える前に心得ておくべき事

第一項 信頼される大人とは

 大企業にとって新入社員とは、大量に採用した中から伸びてくる人材を期待するという、受け身な形で教育に挑む対象です。


 ところが中小零細企業にとって、新入社員は多くて数名。少なければ一人という事も珍しくありません。そうなると必然的に、伸びてくるのを期待していたのでは教育と呼べず、どうにかして育てなければならない対象です。


 若い新入社員が育たなければ、現段階で現場に出ている人間が定年まで現場に出続けるという事になります。

 人が増えなければ事業規模の拡大は見込めず、給与も右肩上がりとはいかないでしょう。


 著者はそんな中小零細企業に、営業コンサルや教育コンサルとして出入りさせてもらっていますが、普通のコンサルとは大きく違います。


 沢山売れるようにコンサルするのではない。

 社員が活き活きと働ける職場をコンサルするのではない。

 新規事業をコンサルするわけでもない。


 著者のやっているコンサルティングを受けた所で、大きな収益が見込めません。

 コンサルティングを受ける側がそうであるのだから、コンサルティングをする著者が儲かる筈もない。


 なので副業としてやっています。


 ではどんなコンサルティングなのか。


 新入社員が育たなくて困っている。

 売れない営業さんを抱えて困っている。


 そんな感じのお困りごとを解決するコンサルティングをしています。

 新入社員が多少育った所で、今すぐに大きな利益は出ません。

 全然売れない営業さんが人件費程度は稼ぐようになったところで、大きな利益は見込めません。


 なので著者が儲からないという構図です。(涙)


 お付き合いのある社長様から、よく「自費出版したらいいのに」と言われるのですが、どうにも面倒で取り組めていないのが現実。

 それでも文章にしてみたらどうなのかと思い立ち、ここで少しばかり披露させてもらうかなと。

 私の拙い文章など、有料での出版はどうかな。

 それよりも、もしかしたら多くの人の目に留まるかもしれないカクヨムの方がよろしいかなと思います。



 それではここから、表題の件について。


 新卒入社の若い社員さんを抱えている企業の、その若い社員さんを直接指導する現場管理職の皆様とお仕事をさせて頂いた時のエピソードを紹介します。


 会社の中とは言えど、やはりそこは人と人。

 そもそも人間として、大人として尊敬されなければ言葉に重みが持てません。


 ここで言う『尊敬されなければ』という表現は優しい言い方であり、厳しい言い方をすれば『大人として軽蔑されてしまっては、何を言っても聞いてはもらえない』となります。これは誰しもがそうでしょう。


 仕事は出来るけど、人としてどうかと思う。


 そんな言葉の裏には明らかな軽蔑が見え隠れしており、その言葉の対象となった人を『手本にはしない』と言い切っているのと同じです。

 ただこの場合は『仕事は出来るけど』という付加価値があるので、会社の仲間としては許容範囲といったところでしょうか。


 それでは考えてみてください。

 新卒の新入社員の皆さんが、その人の仕事の出来不出来を理解しきれると思いますか?


 大抵の場合、あらゆる職種において、出来るわけがありません。

 せいぜい「なんとなく知れる」程度であり、人としての軽蔑に対抗しうる付加価値までには至らないのです。


 この話を管理職の皆様にしたところ、異口同音に「軽蔑されるような事はしていない」と仰いました。

 そう仰る以上、そうなのでしょう。

 ですがそれは、ご自身やご自身の周囲の人が持っている価値感の中で、その人達から「軽蔑されない」という限定的な見解です。


 さて、人はどんな時に他人を軽蔑するのでしょうか。

 また、どんな時にその人を尊敬できなくなってしまうでしょうか。

 実際に管理職の皆さんに聞いてみました。


・法を犯す


 致し方のない場合を除き、これは間違いないでしょう。

 殺人とまではいかなくとも、目の前で痴漢行為や盗撮行為、窃盗や詐欺行為を見せられたら、尊敬は一気に崩れ去ってしまうでしょう。


 他にも具体例を求めた所、いくつか挙げてもらいました。


・よく他人の悪口を言う

・二言目には自慢話

・昔の武勇伝を偉そうに語る


 これはよく言われる事例ですね。

 安易に良い顔をしようとせず、常に謙虚な気持ちを忘れないようにしましょう。


・ケチ(部下に割り勘を迫る・基本的に奢らない、など)


 少ないお小遣いでやりくりしている日本のサラリーマンにとって、何とも切実なお話です。

 ですが、これは毎回そうである必要はありません。

 たまにでいいんです。ジュース一本でもいいんです。

 経費を使う事が許される立場であるのなら尚更、少しでいいのでその経費を使ってあげてください。


・マナーが悪い(交通機関や飲食店にて)


 他にも様々な意見が出た中で、著者が注目させていただいたのはこの「マナー」の部分です。


 電車の座席を我が物顔で占拠する。

 お年寄りや障碍者に席を譲らない。

 飲食店で店員さんを怒鳴りつける。

 道幅いっぱいに広がって歩き、他者の通行の妨げになる。

 違法駐車、違法駐輪。

 タバコやゴミのポイ捨て。


 などなど。


 マナーについて沢山挙げて頂きましたが、実はこれが管理職の皆さんが「尊敬されない大人」になっている原因だという事。

 皆さんお気づきでしょうか。


 マナーが守れていない、と言っている訳ではありません。

 マナーとして上記のような例が挙げられている事が、実は「尊敬されない大人」になっている原因だという事です。


 次ページでは、それについて解説していきます。

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