第十項 頑張ってる感
ご無沙汰しております。
どれくらいぶりの更新か、もはや定かではありません。
さて、今回は世に蔓延る「頑張ってる感」について。
部下になる才能のひとつに、上司に気に入られる、可愛がってもらえる、という特性があります。これは良いことであり、無いよりはあった方がいいに決まってます。
ところが、上司としては気を付けるべき部下の才能だったりもします。
そもそも上司とて人間です。
特定の部下を可愛く思ったり、目をかけたりする。もっと分かりやすく表現するなら依怙贔屓してしまう。馬が合う、合わない、という表現もありますが、これはもう人間なら仕方のない事だと思います。
しかしながら、この「可愛がる」という行為と、仕事の「評価」が混ざってしまうと極めて危険だという認識をしている上司は少ない。
その最たるものが「頑張ってる感」です。
同じ仕事量を与えた場合、能力の高い人間の方が涼しい顔でやってのけます。時には上司よりも効率よく。
ところが能力の低い人間は、険しい顔で必死に頑張ってどうにかやり遂げます。
なんだか頑張ってる方を応援したくなる気持ちは良く理解できる。けれど、その感情と評価は分けて考えないといけない。
よく見かけるのは
——君ならもっとやれるはず
——必死さが見えない
——ハングリー精神が足りない
——本気でやってみせろ
——楽をしようとするな
そんな感じですかね。
純粋に成果だけを見れば十分やっているにも関わらず、どこか余裕を残している部下にそんな事を言ってしまう無能な上司がいます。
結果どうなるか。
有能な部下から順に辞めていきます。
その状況に、言い訳でしかないことに気づかないのでしょうか
——能力はあっても根性がない
——仕事は出来ても信頼はできない
みたいな評価を下してしまうのです。
それは、根性がないから辞めたのではなく、正当な評価を得られないから辞めたのですよ?
それは、貴方が信頼されない上司だから相手もその程度に見えてしまうですよ?
上司になった以上、自分より優秀な部下を使ってナンボですよ。
使いやすい人間ばかり可愛がったら自分の首を絞めます。それは何故か。
貴方という人間より優れた人物がいないチームが出来上がるわけですから、そんなチームのポテンシャルはたかが知れています。
スポーツの世界が分かりやすいので例に挙げますが、選手より実績の乏しい監督やコーチはいくらでも存在します。
チームで一番優れた選手、つまりエースと呼ばれる選手がキャプテンであるとは限りません。むしろ違うケースの方が遥かに多い。
自分とは価値観や考え方の違う優秀な部下を大切にしてこそ、管理職として上司として貴方が活躍できるのです。
間違っても、自分の価値観で見た『頑張ってる感』を『評価』だと思い込んでしまうような、無能な上司になるのはやめましょう。
貴方が評価すべきは、貴方の価値観の外側で成果を上げる部下です。
そんな部下が複数いたら、貴方のチームは様々な状況下で高いポテンシャルを発揮できるようになるでしょう。
上司になる才能、部下になる才能。 犬のニャン太 @inunonyanta
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