仮の英雄と革命を。
ただ棒立ちになりその街を眺め続けた。
僕の目の前に広がる街は、台風が過ぎ去ったかのような崩壊状態だった。
この世界に来てからこんなに酷い場所は来たことがない。
街に生存者はいなくただ血を流し息を引き取った人々しかいなかった。
こんな場所があるのだろうか、よくゲームに出てくるくらいの状態で復興は絶望的と思える程だった。
「何があったんですか!?」
少し息のある人を見つけ即座に質問をする。
すると分かったのは集団で街を荒らし食料や武器を盗っていく連中がいた事。
それともう一つは、その連中を追う物騒なものを持ち歩く謎の集団。
僕はここでふと自分が何をしているのか考える。
結局僕はティルやウルズ、クルジュらから逃げここへ来た。
僕は逃げてばかりで弱く小さい。
もっと強くなりたい、本当はティル達がすごく心配でたまらない。
そばにいてあげたい。
ここで僕は「英雄」になってみるのも悪くないと思った。
僕はその街から更に北へ進んだ。
よく分からないがものを盗む奴らにいい奴はいない。
だから僕は彼らから盗品を奪い返し街人に返す。
聞くとまだ生存者は沢山いるという。
ただ早々と逃げられた為に命を落とすことは無かった。
僕はその約1000人程の生存者を集め言った。
「僕に任せてください、物は奪い返しあなた方の恨みを晴らしてみせましょう!!!」
歓声が上がる。
拍手がおくられる。
期待もされる。
少し自分に自信がついた。
だから僕は間違っていない、そう自身に思い込ませた。
走り続けて間もない頃、前に全身白服の武器を持つ集団に出くわした。
きっとこれが追っていたという集団だろう。
話を聞くと彼らもその前の集団を追っているという。
ようするに街を襲った遠く北にある帝国「ウェーブル」の軍人だという。
その軍人を追うのが革命軍と呼ばれる「革新兵団」。
僕は彼ら革新軍に力を貸そうと言った。
彼らは有難いといい手を握ってくれた。
ウェーブルの兵団は悪質でどんな汚い手も使う為、僕ら革新軍は警戒して進んだ。
この戦いはこの世界の歯車を大きく動かす事になった。
時は戻りほんの3日前。
「さて、結局時間掛かっちまったがやっと革新軍に戻れるのか。ったく、手間がかかる依頼だな。」
そう口にする者はウェーブルへ向かう。
彼は急ぎ足で北へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます