第5話救いの手
彼女は泣いていた。
「助けてっ...」
僕はギュッと抱きしめた。
「ティル、何があったの?そんなに傷を負って」
ティルはあれからの出来事を全て話した。
彼女は追われていた、あの男に。いや、正確には男達に。
「あの復讐屋に命を狙われたって!?なんで君まで...」
何故あの男はガルディとティルをねらっているのだろう、殺す理由はない筈だ。
「そいつの家族は昔アスタリシアの国王を暗殺した奴らだ!そいつにも賞金がかかってんだよ!」
前方から来る大男と片手にナイフを持った成人の女らは言った。
彼女が賞金首?どういう事だろう。
「私、貴方を侮辱する事なんて出来ない人間みたい。」
ティルはニコッと苦笑いをする。
詳しい事情は分からないが、僕は彼女を守るべきだと思った。だから僕は腰に着けたナイフを抜いた。
「ティルは俺が守るっ!」
僕は斬りかかった。
大男は格闘戦が得意だったらしく、接近戦では彼が僕より一枚上手だった。
どけと言うかのように僕を押し退けた。
なすすべがなかった、無力だった。
ティルの腰が崩れ落ち絶体絶命だった。
「死ねぇっ!!」
女はナイフを振り上げた、その時
「待てっ!」
その若く綺麗な声は皆の動きを止めた。
そこに居たのは毛並みの良い馬にまたがる10歳前後と思われる少年の姿。
少年は殺意と共に大男達に近付き、目にも見えぬ速さでピストルの引き金を引いた。
二人は倒れルーク、ティルは救われた。
「助けにまいりましたよ、女王様」
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