ほのぼのの中に、人生が見える

美味しい話、かと思えば街の話があり、不思議な不思議なヒロインがいて。
序盤から独特な世界に惹きこまれました。

ヒロインの一穂のキャラクターが、この物語の核なのだろうなあと思います。
会話も、デートも、本題の料理も、彼女がふわっと口に出したものが形になっていく。
それをやんわり受け入れる拓馬。そのほのぼの感が、読む人を癒してくれるような。

そしてちょっと驚きのラスト。さすがショート作品の名手である作者様だけあります。
でも、このラストも「なんか一穂らしいなあ」という感じ。
キャラクターがしっかりしていて、とても読みやすかったです。

ちなみに、一番好きなくだりは、「海沿いで育ったら絵がうまくなるか~」です。
絶妙なあるあるのラインで、作者様の技量と発想に感心しました。

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