この作者さんが書く女の子って本当にカワイイ!
どこか抜けている感じなのに、何かに夢中になると自分の世界に入っちゃう一穂。
彼女のそんなところが好きで、言動も彼女に合わせる拓馬。
この2人のゆっくりのほほ~んした雰囲気は、読者の私までも包み込みこんでしまう。
あることがきっかけで2人は料理の特訓をするのだけど、一穂のスパルタレッスンの様子に、ニマニマと。
この時に2人が作ったお好み焼き、まるで目の前で本当に焼かれているようなジューッ! って音が聞こえました。
ひっくり返したとき、まだ生の一面がフライパンに柔らかくぶつかって、ふわっと広がる様子とかも一緒に。
のんびりした雰囲気の作品だからか、作中に登場する料理と、それを頬張る一穂の姿がすぐに思い浮かびました。
ラスト、どうするのかな。
そう思って読了後、あぁ、と。
ホント、現実にありそうな恋愛。
もしかしたら、どこかの誰かさんの経験をそのまま切り取ったのかもしれないなー、って妄想して、このレビューの最後にしちゃいます。
あっ、最後私の感想だった…………ぜひ、ご一読を!
美味しい話、かと思えば街の話があり、不思議な不思議なヒロインがいて。
序盤から独特な世界に惹きこまれました。
ヒロインの一穂のキャラクターが、この物語の核なのだろうなあと思います。
会話も、デートも、本題の料理も、彼女がふわっと口に出したものが形になっていく。
それをやんわり受け入れる拓馬。そのほのぼの感が、読む人を癒してくれるような。
そしてちょっと驚きのラスト。さすがショート作品の名手である作者様だけあります。
でも、このラストも「なんか一穂らしいなあ」という感じ。
キャラクターがしっかりしていて、とても読みやすかったです。
ちなみに、一番好きなくだりは、「海沿いで育ったら絵がうまくなるか~」です。
絶妙なあるあるのラインで、作者様の技量と発想に感心しました。
個性の強い一穂ちゃんと、突っ込み彼氏の拓馬くん。二人の様子が漫才のように進んでいきます。
私が一番ほほえましく思ったのが、亀の、尾っぽなのか、尻尾なのかの言い合いです。友だちと似たような経験があったので思い出して笑ってしまいました。
そして、美味しい料理のシーンは、想像しやすいといいますか、きっと誰もが「こんなかんじかな」と思い出せる味であったり、これがまた、食べたくなってくるのですよね。
一穂ちゃんは最後まで一穂ちゃんのキャラクターが貫かれていて、素敵だなと思います。
拓馬くんも拓馬くんで幸せそうですし、皆さんの幸せが幸せの味とも繋がっている、そう感じたあたたかい物語でした。是非、読まれてみてください!