非テンプレ作品を読むストレス
今、ノベルゼロコンに参加している作品を少しづつ読んでいます。異世界転生が禁止されているので、その分オープニングでは読者を惹きつけるための独自の工夫が必要になりますが、多くの作品はオリジナリティが強く、テンプレとは違う魅力を放つ作品が多いと感じています。私も参加していますが、読者を引き込める作品となっていることを祈るのみです。
実際のところ、これは私の好みもありますが、ウェブに多い異世界もののテンプレを外れていても、面白い作品は数多いと感じています。ですが、面白くてもまず手にとってもらえなければ、その面白さに気付いてもらえません。テンプレを外すということは、読者にとって超えるべきハードルを一段高くすることを意味します。
今まで考察してきて思うことは、ウェブ小説の読者は面白さより先に「安心」を求めているのではないかということです。プロの作品なら、あまり読んだことのないジャンルの作品や、見たことのない世界観の作品を書いていても、読めば面白いだろうという期待を込めて読み進むことができます。ですが、アマチュアの作品にはそういう信頼がなく、面白いという保証ができません。このため、最低限この作品では「いつものアレ」が読める、という安心感を事前に与える必要があり、それがテンプレ的な作品への読者の集中を招いているのではないかと思っています。
実際、自分自身の読書習慣を考えてみても、私自身が自分の好きなジャンルの外には全く出ようとしていなかった時期があります。だいぶ若い頃には中国史を題材としいた歴史小説ばかり読んでいたことがあり、それ以外のジャンルには全く興味がなかったのです。プロの作品ですら、好きなジャンルから外れると安心して読めなかったのです。人間、いつもと違うことをするのは想像以上にストレスがかかります。テンプレから外れる作品を読むというのはルールの違うゲームをプレイするようなものなので、同じ読書という枠の中でも思っている以上にハードルの高い行為ではないかと思います。
今まで書いてきた通り、ウェブ小説ではなるべく読者にストレスを与えないことが求められるようです。現状では、テンプレから外れたことを書くという時点で、読者にとってはストレスとなります。しかしそれだけに、テンプレから外れていても読者を惹きつけられる作品はそれだけ実力が高いという証拠にもなります。オリジナルな展開や独自の世界観で読者を惹き込む魅力的な作品がノベルゼロコンから多く出てくることを期待しています。
埋もれた名作は、なぜ埋もれたままなのか 左安倍虎 @saavedra
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