第二回カクヨムWeb小説コンテストの結果を受けて

 先日、第2回カクヨムWeb小説コンテストの結果が発表されました。

 受賞作を見ていて思ったことは、やはり異世界ものは強いということと、どのジャンルで戦うかも大事、ということです。


 前者については、異世界ファンタジー部門では大賞と特別賞受賞作が合わせて七作もあり、次に多い恋愛部門の三作に比べても圧倒的に多いと言えます。それだけこのジャンルは需要が多く、参加したレーベルの方向性にも合っているのだと思います。

 もともと週間ランキングを見ればこのジャンルの強さは一目瞭然ですが、この結果を見る限りカクヨムでは異世界ものの隆盛はまだしばらく続きそうだな、と感じました。


 後者については、恋愛部門の大賞作『雪~シュエ~ 宮女試験と幽霊公主』について思ったことです。この作品は恋愛小説であり、かつ中華風の世界を舞台とする「異世界ファンタジー」でもありますが、この作品が異世界ファンタジー部門で投稿されていたなら、大賞を取るのは難しかったのではないかと思います。現状、ウェブの異世界ファンタジーで流行っているのはこういう方向性のものではないからです。

 女性向け作品が求められている恋愛部門だからこそ、この内容が大賞にふさわしいと判断されたのだと思います。良い作品を書くことが一番大事ですが、作風とジャンルが求めていることがマッチしていることも大事なのだと思いました。


 御存知の通り、カクヨムWeb小説コンテストでは歴史・時代・伝奇ジャンルからは応募することができません。ですが歴史を題材にしていても恋愛色が強い作品なら、恋愛ジャンルで投稿することもできたのではないかと思いました。賞に投稿するかどうかは別としても、作品の内容によっては需要の高そうなジャンルで投稿してみるのもいいかもしれません。カクヨムでは歴史ジャンル自体が人口が少ないので。


 SFとドラマ・ミステリー部門、そしてラブコメ部門では受賞作なしという結果になりましたが、これは優れた作品がなかったわけではなく、参加したレーベルのカラーに合う作品がなかったということではないかと思っています。選考編集部の多くがライトノベルレーベルであるこのコンテストではあまりヘビーな作風のものは求められていないのかな、という印象を受けました。


 受賞作がいずれ書籍化することを考えると、やはり作品として優れているだけではなく、参加しているレーベルから出せる作風であるかどうかも求められます。選考編集部の多くがライトノベルレーベルであるこのコンテストでは、一般文芸に近い作風の作品だと高評価でも受賞には至らなかったと個人的には見ていますが、それだともともと一般文芸に近い作品の多い現代ドラマはジャンルそのものが不利だということになりそうです。


 全体として、現状で強いものがやはり順当に強かった、という印象を受けるコンテスト結果でした。

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