口にするたび異世界転移

胸が切なくなるダークファンタジーです。
読んでいるうちにどんどん引きこまれて感情移入していきます。
切なくなるので何度も読むのは辛いのに、それでもまた読みたいと思わせられます。

意図的非意図的に関わらず条件を満たしてしまえば、今まで紡いできた関係、環境、思想を置き去りに一人で別の世界線へ旅立ってしまう･･･その非日常的でありながら、現実的な無情さを含んだ描写に衝撃を受けました。しかし、ヒロインであるヒサカという女性は共に転移をしているという展開に続きが気になってしまいます。

第一話から続きを読ませる力があり、気づいたら最後まで読んでしまうほどストーリーの組み方が秀逸です。
一度取りこぼした命と、新たに吹き込んだ仮の命。
主人公はどのような選択肢をとるのか？
これ以上はネタバレと怒られそうなので止めておきます。

よくある異世界転生ものかな？
異世界グルメものかな？
そんな風に思って読んでいる時期が、私にもありました。

この物語は、主人公とかかわった人間たちが、次々に魅力的な気高さを覚醒していく物語です。
凡庸な冒険団のリーダーだったヤサウェイは、英雄となって邪悪な女傑を退け、仲間たちの魂を救います。
そのうえで、主人公の擦り切れていた心を目覚めさせるのです。

そして、中盤の世界で出てくるメルクオーテとサクラ。
ツンデレ的なメルクと、どこまでも無邪気なサクラちゃん。
彼女たちの振る舞いが、どれほど主人公の救いになったでしょう。
その魂の輝きは、決して失ってはならないものです。
消させていけません。…続きを読む

上手い下手ではなく、好みがあるかと思います。
でも私は結構好き。

『口にするたび異世界転移』というタイトルから「おっ、新しい異世界グルメものかな」という興趣を引かれますが、作品を開いてみると 「残酷描写有り」「暴力描写有り」のレイティングに加え、タグ欄には「シリアス」「ゾンビ」「虫の息ヒロイン」「死の運命に抗う者」など何やら不穏なワードが……（最新話現在）。

「『食べ物』を口にするたび違う世界に転移してしまう」という主人公の体質は、彼がその世界でどれだけやり残したことがあったとしても何かを食べた瞬間にその世界から離脱させられてしまうということであり、いわば強制シャットダウンです。実際、主人公は物語開始時点ですでに122の異世界を経験済みらしく、語り口にも…続きを読む

ヤサウェイというキャラがいるんですが、彼が半端なくカッコいいです。それこそ途中で、主人公を食ってしまってます。
　彼の全くヤサくない男気溢れる生きざまを是非とも見届けてもらいたい！