第5話 122回109日目〈4〉 S★0

 無事……とは言いたくないが次の仕事も決まり、昼食を終えた俺達はそのままテーブルに居座って食休みをしていた。

 しかし、街に着いたのだから色々とやることはある。

 例えば宿の手配や消耗品の補充などだ。

 そして、そういう役目を俺達は持ち回りでしている。


「じゃあ、僕達は先に行くよ」


 俺が手帳に先程の食事内容を書き込もうとした矢先、ヤサウェイとハキが立ち上がった。

 今回はこの二人が宿の手配など、面倒ごとを済ましてくれるわけだ。

 だが、何もそれは面倒なだけじゃない。

 自分の希望する宿を手配したり、所望する品を買えると言うメリットもあるのだ。


「ハキ! とにかく温水のシャワーが浴びれる宿! お願い!」

「ヤサウェイ、ハキが無駄遣いしないように見張っててくれよな」


 それを承知の上で、ヒサカとズグゥは各々二人に声をかける。

 すると、ヤサウェイ達も任せろと言わんばかりに親指を立てたり、ウィンクを決めてからギルドを出ていった。

 そんな役割を持った二人に対して、残された俺達には束の間の休息が与えられる。

 あとはのちの集合時間と場所さえ守れば、基本的に自由行動が許されていた。


「さて、じゃあオレも行くぞ。こいつを新調してくる」


 そう言って、ズグゥは少量の酒が残っていたジョッキを煽る。

 彼は簡単に身なりを整えると武器を手に立ち上がった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る