その8

※これはあくまでも個人的見解です。



作家は神であり創造主であるのだから物語世界の創造に手を抜いてはいけない。


例えば、作中に羽を持つ馬を出すとする。もしもそれが、背中に一対の鳥のような翼を持つ白馬であり、名前をペガサスとするのなら凡庸な発想力と言えよう。

多くの人が「羽を持つ馬」と記しただけでペガサスを思い浮かべるが、それはギリシャ神話やローマ神話が浸透しているからであり、そうでない世界では通用しない。しかも、文脈から言えば背中に羽があるとも、色が白いとも書いていない。想像力を駆使するならば、蝙蝠の翼であっても、蝶やトンボの翅であっても構わないし、一対どころか何対あってもいい。背中にある必要もなく、肢が羽であってもいいし、頭部や臀部にあっても、四つの足首に翼が一対ずつあってもいい。色にしても金色でも虎縞でも金属光沢でもスケルトンでも構わない。名前も好きなようにつければいい。それこそが、物語世界を創造する作家の腕の見せ所なのだ。

ゾンビ、吸血鬼、グール、スライム、ドラゴン……誰もが聞いたことのあるモンスターを使用するのは手っ取り早く、理解もされやすい。

世界観もそうだ。剣と魔法の世界、宇宙船が飛び交う未来……一言で誰もが画一的世界を想像することができる。

だが、誰もが簡単に思い浮かべることのできる既存の舞台、設定、登場人物なら、誰でもが創造できる安易な世界にしかならない。


自由に創造することのできる作家がどうして自由な想像を手放しているのだろうか。


こう語ったのは数年前来日した時に知り合った、ジブリとポケモンをこよなく愛するアメリカの女性評論家だ。

この話を聞いて、皆さんはどう思うだろうか。

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