内容ではなくニュアンスですが、時をかける少女、みたいな作品です。

作品中にタイムマシンの単語が溢れている。でも、肝心のタイムマシンは中々登場しない。
でも、首尾一貫してタイムマシンの存在を感じる。未来人の存在を信じるヒロイン目線で物語が進むので当然かもしれないが、彼女とシンクロする自分を止められない。
カストリ紙(京極夏彦の世界だ!)の取材記者は、あの役回りの人物かと踏んだが、そうではなかった。肩透かしが上手い。
と言うか、いつの間にか、読者はタイムマシンの設定に取り込まれているのだ。ヒロインと同様に。
読み易く、良い雰囲気の作品だ。SFではなく恋愛物として読んでしまうが、最後にはSFとして店仕舞いしている。

作者の明智シリーズの一作を以前に読んだが、そちらもお薦め。個人的にはシリーズを読破するつもりです。

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