恋は歴史を動かす

友達を作るのが苦手で内向的な戦前の女学生が、未来人ジョージと不思議な文通を交わしながら次第に恋心を芽生えさせる。

ほろ苦い片想いを大事に抱えながら、未来人ジョージに会うという夢を叶えるためにタイムマシンを開発する女性研究者を、とあるオカルト雑誌記者が取材をしに来るところから、話はスタートします。

他人からすればちょっと痛い昔話は、その真相が語られるところで思わぬ方向へ転換していきます。

そして最終話、殊に最後の一文を読んだときには感動と涙で、ずっしりと読者の心に余韻として刻まれるでしょう。

十五静香氏の作品は、昭和初期、戦前または戦後間もない作品が多くいずれもクオリティーが非常に高いのですが、私はこの作品がいちばん好きです。

文体はやや固めですが非常に読みやすく、書店で並ぶ作品さながらです。

同じWeb小説を書く者として、嫉妬まで感じさせるほどの名作です。
是非ご堪能ください!

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