奇想天外なこの物語、明日からトイレを見る目が変わりますぜ!

トイレの数だけ物語がある。
と、先人が言ったかどうかはわかりませんが、まさしくこの物語はそれです。人間は生きている限り食べて排泄します。食事をいただくシーンは様々な物語で、それこそ星の数ほど描かれてきております。では、その食事を終えて排泄する場面をこと細かく描写する物語は、いくつくらいあるのでしょう。と申しますより、まず一般的にお目にかかることはないかと思われます。一部コアなマニア向けのお話を除いて。
やってくれちゃったのです、今作は。あらかじめ申し上げますが、排泄シーンをきっちりとこれでもかと描いてあるわけではありません、念のために。
トイレを主題とした短編集になります。お見事! と思わず膝を叩いて(あっ、このときに決して下腹部に力を入れ過ぎないように、経験者としてご忠告申し上げます)しまう秀作揃いです。
現代ドラマにSF、恋愛物にファンタジーとあらゆるジャンルに散りばめて、トイレを語ってくれています。笑いあり、涙あり、それこそ排泄物のように色々なカタチになって読ませてくれます。
しかも、まだ完結しておりません。もう出ないだろうと思わせておいて、実はまだ出しきっていないのです。
一話あたりが用たし時ようにと短く配慮されているのも、嬉しい限りです。
間違ってもお食事中での読書はされぬように。
冒頭にも書きましたが、まだまだ出ます、お腹の調子が悪い時のように。
ぜひ早めにご覧になってください。そして、トイレに向かう時には、必ず感謝を持って排泄なさってください。

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