人の情とお節介達

酒は飲んでも飲まれるな

『ひっ…おいひぃねぇ〜〜……アレ、もうあんまりなぁい?…李蠹ちゃん?熱い〜〜…エアコン下げてぇ?…』

酔い潰れ寸前の茹でだこになった蕗亜を周りの奴らは冷たい眼差しを向けながらそれぞれ他の事をする。

『飲み過ぎ。酒臭せぇし…』

『嫌よ!?寝たらただじゃおかないんだから!』

『ほっとけ。アホが伝染る。』

『アレぇ…視界がぐるぐるまわ……zzz』

『蕗亜寝たけど??』

コイツが寝たらどうなるのかっていう好奇心も多少はあったが。

『あ〜あ。面倒事はお断りだ。』

と言って背を向けてテレビを観始めた。

『アタシは健康の為にもう寝るから起こさないてよね!』

と言いスタスタと部屋に戻る。

『………zzz……んー……あ…おはよ〜?』

蒟蒻みたいな顔をしてフラフラとお酒〜と言って取りに行った。

と言う後悔は止めておこう。

そういう事を思っていたら横から透き通った様な声がした。

『おい、お前…───』

『え?俺?』

コクリと頷かれホッとしたのも束の間思いっきり睨まれた。

『…?』

彼奴が可笑しい?いや、この家に来てからずっと可笑な奴だ…──と言いたいのは喉に沈め

『いいや、別に?酒を取りに行った』

へぇー……………と力無い様な返事をしてまた、背を向けて何かをし始めた。

そう言えば帰って来ないな…と思いながらテレビを眺めていたら後ろからいきなり大きな声が聞こえた。

『ヤミちゃ〜〜ん!!wあはは、見て見て〜お酒空っぽになったねぇ!w何かね、今ならんだw』

とヘラヘラ笑って古闇さんの背中に抱き着いてる姿は本当に…中身は兎も角童顔だから幼く見える。

古闇さんが無言で蹴っているのは少し絵的にアレだけど。

『今ならね、なんだよ?wやっとやっと…───』

とまた、寝てしまった。

夢だとか無さそうな奴に見えたのは俺の只の偏見だった様だ。



少し古闇さんが髪を上げて

『ったく………酒は飲んでも飲まれるなって知らないのか、あのアホ蕗亜は…───』

そう言った後、鎌が薄らと何かを斬る様な音がしたのは誰にも聞こえて居なかった様で。過去も未来であり未来も過去だなと思い返す。

それに?と疑問を残して俺も深い眠りに堕ちていく。

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