花はひとりでいきてゆく

作者 市來 茉莉

感動で涙が止まりません!!

  • ★★★ Excellent!!!

作者さまの作品を読むのは二回目になります。一作品目にて、丁寧な心理描写、脳裏にイメージが浮かび上がる情景描写、物語に引きずり込む多彩な仕掛けを体験していましたが、本作品でもその魅力は十二分に発揮されてました。

物語は、やや複雑な人間関係が絡む恋愛ドラマです。あえて詳しくは述べませんが(詳しく書くと、ある場面での涙するシーンが損なわれますので)、本作品の特徴を紹介したいと思います。

本作品には性描写が含まれますが、よく読みますと、単なる性描写でないことに気づきます。一見するとよくある男女の交わりに見えますが、すでに仕掛けは始まっていて、一気に物語に引きずり込まれていきます。物語が進むにつれて、交わりも形や色を変えていき、それが互いの心情を表しているようで、時には胸が苦しくなるような気持ちに見舞われます。

物語のキーとなる『秘密』については、恐らく衝撃を受ける方も多いかと思います。しかし、この『秘密』をありのままに受け入れることで、人間関係がより際立ち、更に深い感動を味わうことができるようになっています。

本作品の最大の特徴は、登場人物がいないことです。いるのは、役割を与えられたキャラクターではなく、それぞれの人生を歩んできた生の人間たちです。そのため、都合のいい展開は一切ありません。だからこそ、主人公のカナの姿や義兄の苦悩に共感し、涙すると思います。

最後に、本作品の一番の見所を紹介します。主人公のカナが中盤である場所で暮らすことになりますが、そこで描写される景色、心情は、圧巻の一言です。現実の世界なのに、幻想の世界に連れていってもらえます。

素晴らしい作品と胸が震える感動の連続だった読書時間、本当にありがとうございました。

感動と涙保証の本作品、自信を持ってみなさまにオススメします!!

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