無駄な個性が一つもない

 不気味な事件、それに巻き込まれた雑誌記者、解決の方法を知っているコンビ…胸が躍るものがちりばめられているのですが、私が最も心を引かれたのは、「誰が欠けても物語が成立しない事」でした。

 それぞれの長所が事件の解決に向けて必要なものであり、それぞれの短所が登場人物を結びつけるのに必要なものである、と感じられる物語は、なかなかあるようでないと思います。

 物語も、登場人物の向かうところ、順調に手掛かりが集まり、手詰まりになる展開はない、と書いてしまえば、ご都合主義的に聞こえてしまうのですが、そうではない。

 それぞれが持つ個性が切り開いた道である、考えた成果であると丁寧に描かれているからこそ、ご都合主義ではないのです。 

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