衝撃的にピュアなエロハートフルストーリー

 冒頭、「僕(タクミ)」の強烈な語りに、まずドキリとさせられます。そして、第1話の終わりまで読むころには、ミキと同じような事情を抱えた子供とリアルに接したことのある人であれば、ミキがどんな子供なのかをだいたい察することになります。「あ、重い話かな……」と少し警戒感が高まりつつも、「僕」のストレートな言葉が頭から離れません。

 「原石」美少女ミキの置かれた状況が淡々と語られる一方で、その彼女を傍らで見つめるタクミは、道徳の教科書に出てくるような正義感の強い人間でもなく、建前と本音の狭間で悩む凡庸なタイプでもなく、実に自分に忠実でただひたすらにエロ思考。強烈ながら実はこれがこの年頃の男の子というものなのかもしれない、と思わずにいられないリアリティが、読み手を、時には笑わせ、時には手に汗握らせながら、ぐいぐいと作品世界へと引っ張っていきます。
 ミキとタクミをつなげる役割を果たす「ぐーたぁ」は、さらに強烈な存在ですが、人外の視点から二人のことを語るくだりは、いわゆる「社会の枠組み」で物事を見がちな我々に、純粋で素朴な新しいものの見方を教えてくれるような気がします。

 ミキの設定は、とても取り扱いの難しいテーマだと思うのですが、年頃の男の子の純粋にエロい視点からそれが描かれると、ありがちな「べき論」的雰囲気を一切含まない、かくも美しく初々しい物語になるのかと、感嘆するばかりです。前半に描かれる多くの小さな出来事が後半の劇的な展開の中で収束していく様も、本当に見事です。

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