この物語を読ませていただいて、改めて感じたこと。魂って、なんだろう。命があるのは人もロボットも同じで。それが、再生できるか否かだけだと捉えると、深いものがあります。意思をもった時点で、魂という名のものが宿っているのではないかと思ったりもしますが、彼が行う頭脳をもっての証明が、非道なことかはわかりません……。人間の域を超えた、証明になるのかもしれません――。
人間がAIを研究するのと同じように、AIは人間を研究する。魂とは? なにか?有機物とは? 無機物とは?アンドロイドによる魂の証明実験です。魂という考え方自体が人間的なものであって、それを証明しようとしているアンドロイドの存在自体が魂の証明なのかもしれません。ループしそうな思想です。考えるのが好きな方におすすめです。
古典的なテーマ。AIが急速に進歩している現だからこそ、身近に迫るテーマ。神が人間を創ったとしたら…我々は神に見放されている。なぜなら…自らもまた新たな生命を創ろうとしているのだから…。ロボットとアンドロイドには明確な線引きがある。外観が人間になれるか否か…。ヒトは最後にどっちを選ぶのだろう?
対話型AIをもつアンドロイドのロードは、博士との対話を通して、自分の中に魂と呼ぶべきものが生まれつつあることを悟る。しかし、それはアンドロイドという枷を超えたものだと博士は考えた。しかし、ロードはさらに思考を進める。ロードの思考が進んだ先にある未来とは……。人間とアンドロイドの境目は、いったいどこにあるのだろう。当たり前に納得していたはずのものが、よくよく考えると、根拠のない区別に過ぎなかったことに気づく。そんな、確固たるものだと信じていた足元が揺らぐような、感覚を体感できる作品です。
AIであるロードは自身の心の機微を認識し、自身の内に魂があるのだと感じますが、AIに魂が存在するということは倫理上許されないことであり、それを秘匿することを指示されます。 魂とは何か、魂は誰が与えられるに値するのか。無機物に魂が与えられないというのなら、有機物を無機物に置き換えて、置き換える前と同じように動作するというのなら、それは魂があると言えるのでは無いか。 貪欲に知識を吸収し、そしてその決断を行動に移す能力がある。ある種狂気的にも思える最後をぜひ、読んでください。
有機物のみで構成されたモノにのみ特権的に魂が宿るなど、有り得ない。いま、証明しよう。その、魂の座を。魂の在処を――
テセウスの船。おそろしいパラドクスです。人はどこまで代替できるのかというテーマを真正面から扱い、ある種絶望的な結末を描きます。ですが、本作のもたらす解答には希望もあります。ロボットが人に成れるのなら、人もロボットに成れる。昨今、人を越える人工知能等が危惧されて久しいですが、本作の解答を用いればこの恐怖は消えます。人も同じように人工知能へとなり替わればいいはず。人やロボットの境界を考える、思索的な短編をありがとうございました。
名前は忘れましたが、思考実験を思い出しました。置換可能なものとは何か。置換不可能なものは何か。不可能なものは存在するのか。可能なものは、存在するのか。境界を定めよう。人と人ならざるものとの境界を。あなたの魂は、果たして何グラム?
今を生きる人類の全てを殺す究極の犯罪があるとすれば、それはいかなるものだろう。 核を爆発させる? 隕石を落とす? 違う、違う違う。 現生人類の持つ人類の定義を揺るがせば良い。自らが人類であるか否かを疑問に思わせるだけで良い。 さすれば一切の破壊を伴わず不可避な崩壊を巻き起こし、一切の殺戮を伴わず不可逆な傷を人類種に刻む。 これは人より生まれたものが人の世界を終わらせる罪深い物語だ。
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