狼と少女の出会いとそれぞれの旅の交差。

 狼のギンと、少女ノータの刹那の出会いとその別れから、それぞれの視点で物語が進んでいきます。

 何年かの月日が流れ、ギンにとってはその半生の物語、ノータは家族を失い、つらい境遇へと移り変わっていく旅の物語。その二つの物語が、過酷でありながらも、短い言葉で美しく描写されていきます。

 それはまるで、ひとつの映画を観たかのような、映像的な世界が読み手を包み込み、その空気や息遣いが伝わってきます。

 長く長く旅をつづけた二つの命は、終盤にてもう一度巡り合います。その物語の果てになにがあるのかは、是非手に取って目撃していただきたいです。

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