その輝きは銀色に。

作者 糸乃 空

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★★★ Excellent!!!

あるきっかけで出会った、少女と銀狐の子。
少女が、狐を罠から救った。
その出会いは、わずかな時間のことだったけれど——

救った少女と救われた狐は、それぞれに、ただひたすらに、目の前の日々を生きる。
彼らの前に立ち現れるのは、この上なく苦い現実。

そして、自然の中で強く育った雄狐と、ある揺るがぬ決意を胸に抱いた少女は、再び出会う。
ともすれば一瞬で消えるかもしれない「命」を、強烈に燃やしながら。


生きることは、苦しみ。
その苦しみの中から、手探りで光を探すこと。
何としてでも、その光を手繰り寄せること。

読み終えた後、そんな強烈な余韻がいつまでも胸に残る、ずっしりと深い重みのある物語です。

★★★ Excellent!!!

 狼のギンと、少女ノータの刹那の出会いとその別れから、それぞれの視点で物語が進んでいきます。

 何年かの月日が流れ、ギンにとってはその半生の物語、ノータは家族を失い、つらい境遇へと移り変わっていく旅の物語。その二つの物語が、過酷でありながらも、短い言葉で美しく描写されていきます。

 それはまるで、ひとつの映画を観たかのような、映像的な世界が読み手を包み込み、その空気や息遣いが伝わってきます。

 長く長く旅をつづけた二つの命は、終盤にてもう一度巡り合います。その物語の果てになにがあるのかは、是非手に取って目撃していただきたいです。

★★★ Excellent!!!

 読んで良かったと、心から思える物語です。童話的な物語の中に、家族とは? 生きるとは? という命題が上手く組み込まれていて、心に響きます。この作品の中軸として狐と少女が出てきます。少女が家族を失う一方で、狐は家族を得ます。こうした対比構造も巧く取り入れられていて、よく練られた作品であると分かります。それなのに全く押し付けがましくなく、スラスラと読むことが出来ました。作者様の文章力の賜物だと思います。
 罠や銃、野生動物の考証も優れていて、物語に現実味を与えています。メッセージ性も確立していて、ダイレクトに心に刺さります。
 この物語に出会えたことを感謝します。
 是非、是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

厳しい状況に置かれながらも、毎日を必死に生きる1人と一匹がある時に交錯し紡ぐ物語。

「生きる」という事はこんなにも過酷で、
気を抜けばそれは、スルリと手のひらから落ちていってしまいそうだ。
なのに、どうしてこの儚い行為はこんなにも美しいのだろうか?

ノータとギンの見る世界はグラデーションを描き、やがてそれは1人と一匹に収束する。
独りで生きていくには過酷だけれど、誰かと寄り添え合えればきっとまた違う世界が見えてくるはず。

★★★ Excellent!!!

自然に生きる銀ぎつねと、父親を亡くし新しい父親に暴力を受けている少女の視点が、交互に展開していきます。
一人と一匹の接点は、罠にかかったきつねを、少女が助けた、というところ。
しかし、そこからお互いが仲良くなって……というようなお話ではなく、一人と一匹はそれぞれの生を歩んでいきます。
一人と一匹のそれぞれの生きるさまを興味深く読み進めつつ、お互いまたいつか出会うのだろうかと思いながら、惹かれていきました。

そして終盤、少女は、読んでいて胸の苦しくなるような葛藤をします。
この盛り上がりは個人的に大好きで、胸がぎゅうぅっとなりました。
そして少女は――
銀ぎつねは――

ぜひ、一人と一匹をあなたの目で見守ってみてください。

★★★ Excellent!!!

罠にかかったキツネとそれを助けた少女の物語ですが、ただの恩返し物語ではありません。

淡々とした語り口の中にも、激しい描写があり、少女とキツネの生きる姿を克明に浮かび上がらせています。

『生きる』という意味を、キツネが教えてくれる姿に胸が熱くなります。

作者さまは、他の作品でもひねりのある作品を書かれてますが、この作品ではその持ち味を生かしつつ、直球で訴えてくる魅力もありました。

テンポよく物語が進みますので、みなさまも、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか? オススメです!

★★★ Excellent!!!


あたたかな幸せが一日にして崩れ去った少女と、過酷な自然を生き抜くギンギツネの物語です。
一度だけ交わった両者の視線が、次にいつ交わるのか、もしくは、もう交わることはないのか。
今後が気になる作品です。


言葉が、本当に美しい。
一つ一つの言葉に命が籠っていて、きらきらと輝いています。
内容ももちろんですが、言葉の美しさに、私はとにかく感動しました。


是非、多くの方に読んでほしい小説です。