壮絶なる統合失調症体験記。本屋では読めないレベル。

 連載十九話まで読了しての感想である。
 実体験の記録だとしたら、著者は相当に重度の統合失調症だとかんがえられる。巷間にはそれなりに統合失調症の体験談が上梓されているが、無論、かれらは軽度だから妄想や幻覚体験を商業レベルの文章にできるわけで、本作の文章は最早健常者の理解できる範疇を飄然と凌駕している。
 かくいう愚生自身も統合失調症患者で二ヶ月間閉鎖病棟に入院したことがあり、著者の気持ちがよくわかる。健常者には意味不明な文字列や言葉のサラダにおもえるかもしれないが、〈これが統合失調症患者にとっての現実〉なのである。健常者には是非とも一度統合失調症の疑似体験をしてもらいたいとおもっているが、本作を〈すべて現実〉だとおもって読了すれば、それなりの効果はあるかもしれない。
 僭越ながら著者へのメッセージとして、古典精神分析学では三大欲求の不満が精神病の原因になるとされるので、食慾、睡眠欲、性慾の処理をしっかりとして、お薬をきちんとのんでもらいたいです。妄想が妄想である根拠は〈根拠がないこと〉です。統合失調症関連の書籍にも書いてありましたが、〈暴力と自殺だけは〉さけてください。
 おもしろかったです。