道草氏に幸せあれ

おひさしぶりです。
九頭龍一鬼と申します。

道草氏は、一度アカウントを変更されたようなので、愚生が本作を拝読するのは二度目となります。

かつてブランショは『あらゆるテクストにはあまたのヴァリエーションがある』などといっていたはずですが(「謎の男トマ」第三版の序文だったか)、本作も、第一話と第二話は、相違するヴァリエーションの同作とおもわれますので、読者のみなさまには、第一話だけでも瀏覧していただきたいです。

内容としては、作者本人とおもわれる主人公が、時空を超越して、太宰治や川端康成やヘミングウェイなどの自殺をくいとめたうえで、第二次世界大戦の犠牲者をなかったものとし、最後には――、という、壮大きわまりないものです。

クンデラの『不滅』は、現代の女性が時空を超越し、ゲーテと戀愛をする物語だったはずですが、スケールといい発想といい『人間合格』のほうがずっと面白いです。

バーナード・ショーなどの前例もありますし、道草氏が嚮後プロデビューして、ノーベル文学賞を受賞することは不可能ではないかとおもわれます。

そもそも、量子力学的にかんがえれば、未来はあらゆる波動関数の聚斂によって分岐してゆきますので、いずれかの未来でかならずノーベル賞を獲ることになります。

余談ですが、愚生も毎月、少額ながらUNICEFに募金しているので、本作の募金のくだりは非常に共感いたしました。

すべてのアマチュア作家さんにも申し上げたいのですが、道草氏にも、今後、最高に幸せな作家生活をおくっていただきたいです。

面白い作品をありがとうございました。