異世界転生……それは本当に心沸き踊るような体験なのだろうか

異世界転生。
テンプレとも呼ばれる、昨今ローファンタジー小説でよく見られる設定。

しかし、いざ自分が転生する立場になったら、果たしてそれはどんな感情を自分の中に呼び起こすんだろうか。
自分の親しい人が、家族が、いきなり見知らぬ異世界に行ってしまってもう二度と会えなくなったら。

考えてみれば当然な感情だけれど、この作品を読むまで気づかなかった……そういう感情に気づかせてくれる作品です。


そして。自分が異世界に行くとしたら、誰と同じ世界に行きたいか。自分だったらどんな世界、誰のいる世界に行きたいだろう。そんなことも考えさせられました。


あとがきに書かれていることは、本編を読んだ段階ですべて読み取れましたので、あとがきに書く必要はないのかなとも感じます。
とはいえ、たしかに一人称視点でその人物の見方が正常と異なってきていることを読者に読み取らせるっていうのは、かなりな力量がいるものですね。
この作品は、あえてその難しい課題に取り組んだ意欲作です。

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