トレインカフェが運ぶ、旅する少年と猫

へへへ……面白かった!

本作は、少年とお話のできる猫とが、列車に付属したカフェに乗り込んで、夜ごと旅するストーリー。カフェにはマスターとシェフ。そして色んなお客さんがやってくる。時には下車して異邦を訪ねることもある。

少年はまだ幼く、一人立ちしたいと思っていても、その方法を充分にはわからない年頃。話し相手の猫のムギに、夜な夜な幻想的な世界に連れて行ってもらう。そのなかで、いわゆる「大人の世界」へと一歩一歩認識を深めていく。賑やかな登場キャラクターとのやりとりのあと、少年がふと考え、ムギと対話する。この流れがとっても面白かったです。

少年が思索するに到るような、ストーリーを彩る登場キャラクターや設定。これもまた大変面白い。たとえば本作は料理が多く登場し、物語でも重要な役割を果たす。このあたりの寓意を含ませる仕組みが巧みで、短編集の体裁をとる本作に通底する、アメージングな雰囲気を演出している。

少年はやがて色んな事を「決めて」一人立ちして、大人にだんだんとなっていくんだろう。そのための一つ一つのステップが、本作には篭められている。ぜひぜひ味読を!

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