概要
彼女はサウナを知った。もう水風呂のような人生を歩むしかなかった。
恒星間航行貨物船の乗組員であるサドーはひとり宇宙を漂流していた。――しかも、サウナに閉じ込められて。
しかし、無類のサウナ好きである彼は、むしろ、その状況を大いに楽しんでいた。
宇宙を孤独に漂流するサウナは、サドーにとって最高の死に場所だった。
ただ一つ、心残りがあるとすれば、それは最期に水風呂に入れずに死ぬことだった。
一方で水棲生態を持つ宇宙人・ラプラは、人生を転落しつづけ、不本意にも宇宙海賊に身をやつしていた。
宇宙海賊としても落ちこぼれた彼女は、まぬけにも自らが襲った貨物船に返り討ちに遭ってしまい、宇宙を遭難するはめになった。
自分の不幸を呪いながらも、死にたくないと願ったラプラは、偶然にも漂流する宇宙船の一部を見つける。ラプラは生き残るために、その宇宙船の一部――サドーのサウナ
しかし、無類のサウナ好きである彼は、むしろ、その状況を大いに楽しんでいた。
宇宙を孤独に漂流するサウナは、サドーにとって最高の死に場所だった。
ただ一つ、心残りがあるとすれば、それは最期に水風呂に入れずに死ぬことだった。
一方で水棲生態を持つ宇宙人・ラプラは、人生を転落しつづけ、不本意にも宇宙海賊に身をやつしていた。
宇宙海賊としても落ちこぼれた彼女は、まぬけにも自らが襲った貨物船に返り討ちに遭ってしまい、宇宙を遭難するはめになった。
自分の不幸を呪いながらも、死にたくないと願ったラプラは、偶然にも漂流する宇宙船の一部を見つける。ラプラは生き残るために、その宇宙船の一部――サドーのサウナ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!サウナが宇宙にあるんだぞ。それは素晴らしいことだ。
ジャレド・メーソン・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』。あるいは網野善彦の『無縁・公界・楽』。これら単語を三つ連ねる作品は、一見すると非連続な三つの単語が、実際密接に連続し人間社会がいかなるありさまであるかを語っている。
本作『サウナ・水風呂・流れ星』もまたこの例に漏れない。
良い作品に出合った時は、すぐに感想・レビューを書きたくなる。けれどこの小説を読んで真っ先に行なったことは、席を立って近所の銭湯に行くことだった。サウナ上がりにこれを今書いている。この作品は、こうした衝動を与え得る。
本作はサウナ大好き人間の主人公が、ある理由で宇宙にサウナ施設と共に放り出されたところから始まる。絶望的…続きを読む