瑞々しいラブストーリーに見入ってしまった。面白かったです。
本作は、元気な女子高生雪乃が、元気すぎるゆえ? に事故に遭いそうになるところから始まる。助けた男 冬哉には、なにやら秘密があって……。
まず、「晩秋の旭川」という舞台がいい。年代は平成ひとけた。
その時代に、サービス精神たっぷりに旭川の名所巡りが繰り広げられる。有名店で旭川ラーメンも食べるし平和買物公園にも行くし、当然、昨今すっかり有名になってしまった旭山動物園にもいく。
清冽な寒さが立ち現れてくるこの時期に、二人が楽しく色々なところに行く姿が目に浮かぶのが面白かったです。
25年後、すっかり都市は変わってしまう。25年ぶりに旭川に立ち戻った雪乃は、雪虫に導かれて、変わってしまった都市のなかで変わらないものを見つけ出し、そこで……。
この25年、という「時の幅」も読んでいて印象に残りました。
ふわふわと何気なく飛んでいるように見える雪虫は、実は目的を持って飛んでいる。卵を産むために、ヤチダモの木を目指すのだ。
本作で飛ぶ雪虫たちは、どこを目指して飛んで行くのだろうか。どこかへたどり着き、何かを残すだろうか。乞う味読! お勧めです。
高校生の雪乃は、旭川に住む女子高校生。
仲の良い友達と高校生活を楽しむ彼女だが。
ある日、交通事故に巻き込まれ、危ないところをとある青年に救われる。
彼は自分のことを『冬哉』と名乗り、雪乃は命を救ってくれた彼と交流を行う中で、だんだんと惹かれていく自分に気づく。
ところが。
そんな『冬哉』には重大な秘密があって……。
と。
重要なところをここでお伝えしたらネタバレになってしまうので差し控えますが……。
展開される素敵なラブストーリーもさることながら、それを彩る『北海道弁』が大変魅力的に使用されています。
女子高生が使うからなのか、それとも舞台が雪国だからなのか。
非常に愛らしく、また、新鮮に映りました。
雪虫がちらちらと舞う中で繰り広げられる、少し切ない物語。
是非、ご一読下さい。