月を美しく輝かせるのは、太陽の光だけですぜ!

檻(これは比喩であり、なぜこの言葉が用意されているのかは、本編をご覧ください)に閉じ込められた、女子高生の夕希。彼女には自ら輝くことの出来ない、月であった。
彼女を美しくその姿を輝かせる太陽、それが同級生の涼。
二人が互いの存在を知り、結末へ向かうのですが、その過程がとても美しい文章で綴られています。
俳人でも一流の作者が語る文章は、どこを切り取ってもため息が出るほど美麗なのです。
もしろ、良い意味で詩に近いかもしれません。
天空に浮かぶ月は、姿を変えます。でも地上の月、夕希は涼の光によって、本来の美しい姿の全てを浮かべていくことでしょう。
そして、雨。
こんなにも雨を嬉しい気持ちにさせてくれる今作、ぜひ多くのかたにご覧いただければと願っております。

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