消え入りそうに儚い月は、強く優しい太陽に希望の光を与えられた──

どこまでも透き通った美しさに引き込まれる物語です。

欲しいものは何一つ手に入らない、自分の人生ですら自分のものではない、そんな閉塞感に押しつぶされそうな夕希。
そんな彼女が目で追うのは、入学式の日に一度だけ微笑みを交わした快活な涼。

月と太陽、同じ場所では輝けない二人だと思い込んでいた夕希は、太陽に近づいたことを転機に徐々にもがき始めます。
涼もまた、自分が月を照らすことで彼女をより輝かせたいと思うようになるのです。

彼女達の未来は、ラストの美しい風景に暗示されています。
心が共鳴し、より一層強く煌めき出した二つの光は、きっと読む人の心に鮮烈な印象を残すことでしょう。

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