濃密なドラマ、複雑なミステリーを織り込んだ渾身の作品!

素晴らしい作品でした。
連作短編のような構成をとった、ミステリーと濃密なヒューマンドラマを絡めた非常に読み応えのある物語です。
記憶が一日しかもたない「千月」という女性を主人公に、妹、幼馴染、死に別れた恋人などが、重厚なドラマを展開していきます。各物語はそれぞれ独立したミステリー仕立てとなっており、バトンをつなぐようにキーとなるキャラクターの物語が語られていきます。さらに物語全体を通して千月の抱えた秘密がミステリーとして存在し、複雑ながらも読みごたえのある構造になっています。
構成の上手さはもちろんですが、奥行きのあるキャラクター造形、読みやすい文章、過去と未来を自由に行き来する軽やかな語り口、すべてが味わい深い物語です。
やがて明らかになる千月の秘密にはとても驚き、また深い感動を呼ぶものでした。ぜひぜひ最後までお読みいただきたいと思いました。
とにかく著者渾身の一作、文句なしに楽しいし、感動するし、またに切なくなったりもしますが、ぜひ読んでみてください!

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