初恋の気持ちを呼び覚ます新感覚ラブコメディー。

孤独な性癖を持つ少年と不良になりきれない不良少女の物語。
主人公・矢吹ミツルは『食材』(という妄想)のない少女に出会う。
少年にとって恋愛は性欲と直結する。少女にとって友情は食事から始まることも多い。
この、本来少年の立場で語られるはずの「性欲=恋愛」を「食欲=友情」と捉えるために生じる、両者のすれ違いが面白い。
この着想を物語に落とし込むために紡がれる作者の視線はとても優しい。物語中盤で、日常と化した逢瀬が欠落し、
彼女との邂逅がいつのまにか非日常となっていた事実に気付くミツル。
二人が寄り添い合っていく過程が、実に丁寧に描かれています。大変楽しく読ませて頂きました。
個人的ベストヒット台詞は、「寧々、お前の顔だけガン見して下校していいか?」大切な一作になりそうです。

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