概要
朝も夜も、いつでもです。猫おじさんは猫と戯れていました
お嬢様育ちの「わたし」は教育意識の高い母親に育てられ、友達もいない世間も知らない内気な女の子でしたが、中学にあがると、母親の束縛は少し緩まってちょっぴり自由が生まれました。そんな中、駅までの道にある神社の手水舎(ちょうずや)で毎日毎日猫と戯れているおじさんに心惹かれます。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!小説の数は世界の数。彼女の世界を広げてくれたものたちに送るモノローグ
一人称で、おそらく成人してから主人公の女性(苗ちゃん)が自分の中学時代に起こった事件を回想している物語です。
事件、と言っても、人が死んだり怪我をしたりするわけではありません。彼女が読んでいた推理小説のようなドラマチックな事件ではないのです。
しかしその事件は少女の心を深く傷つけるもので、ひょっとしたら彼女の心を殺してしまったかもしれないことで、中学生にとってはとても恐ろしいことだったでしょう。
でも彼女の世界はすでに母の作った囲いの外にもずっと広がっていて、彼女を助けてくれるものがたくさんあって――田辺さんだったり工藤さんだったり小説だったり、中でもとりわけ猫おじさんがそれを担ってくれてい…続きを読む