康介兄さんと食べる夜食は、手作りの塩ラーメン。インスタントの塩ラーメン。白菜や豚肉がたくさん載った、ちょっと豪華な塩ラーメン。小さな頃に感じた幸せの塩味。大人になって感じる、ちょっと切ない塩辛さ。それでも、やっぱり、幸せあふれる手作りの塩味。とても美味そうで、とても素敵なお話です。
かつて引っ込み思案だった少女、さゆきは十五年の間を経て叔父の康介に阿蘇に招かれる。性格も変わり、化粧にも気を遣うようになった彼女は、自分の変化、思い出の土地の変化に戸惑う。だが、かつての憧れの人は、かつてと同じような柔らかな笑みを浮かべて作ったのは、あの時のように塩ラーメンだった。手軽に作れるからこそ、それぞれの味がある。手軽に作れるからこそ、それぞれのストーリーがある。素朴だが誰かに作ってもらうラーメンのごとき、豊かな滋味を持っている短編。それこそ体感三分で味わえる、温かくもほろ苦い珠玉のドラマです。
熊本へ里帰りする主人公の視点で時間とともに変わり行くもの・変わらないものを描く短編。成長して大人になった女の子の、懐かしい叔父の前では無邪気な姪っ子のままな面が出てしまったりする所等、終始ほのぼのニヤリとできる。親戚付き合いが希薄になりつつある大人にこそ読んでみて頂きたい。
熊本の実家に帰った女性の話です。同じ九州出身だからなのか、ラーメンという単語が出るだけで踊らされます(笑)くまもとは焼きにんにくの濃厚なラーメンが多いですが、塩ラーメンのように、爽やかなうまみもいいですよね!読後感もよく、ラーメンが食べたくなる話でした!明日は塩ラーメンにします(笑)次の作品に期待して、星3つ送らせて頂きます。
思い出の人と食べる思い出の味は、あたたかくて具沢山。やさしくて、すこしだけ胸がきゅっとなるお話です。さゆきさんがどんな気持ちで故郷をおとずれたのか、そこを想像する「のりしろ」が読者にのこしてあるところが、とてもよいです。
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