かつて引っ込み思案だった少女、さゆきは十五年の間を経て叔父の康介に阿蘇に招かれる。
性格も変わり、化粧にも気を遣うようになった彼女は、自分の変化、思い出の土地の変化に戸惑う。
だが、かつての憧れの人は、かつてと同じような柔らかな笑みを浮かべて作ったのは、あの時のように塩ラーメンだった。
手軽に作れるからこそ、それぞれの味がある。
手軽に作れるからこそ、それぞれのストーリーがある。
素朴だが誰かに作ってもらうラーメンのごとき、豊かな滋味を持っている短編。
それこそ体感三分で味わえる、温かくもほろ苦い珠玉のドラマです。