崔浩先生の「五胡十六国」講座

作者 佐藤

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★★★ Excellent!!!

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「おお、見事な“東洋史話法”だ! 楽しい!」と思った。
崔浩先生の語り口、いかにも東洋史、この上なく東洋史。
絶妙に軽快な皮肉交じりの毒舌風味、断言して容赦なし。
それでいて実に骨太な歴史観・政治観を滔々と語るのだ。

語られる内容もまた、いかにも東洋史、この上なく東洋史。
作中の言葉を借りれば「バカ kills バカ」「内ゲバ」の連発、
バカ殿スパイラルによってぶっ壊れゆく短命国家の様相が、
後世的なツッコミを交えつつ非常に「香ばしく」描かれる。

三國志でお馴染みの時代の後に訪れた五胡十六国時代は、
安定やら安寧といった言葉が「何それ?」なくらいに、
漢族も異民族もごちゃごちゃの大乱闘が繰り広げられた。
無論、キャラが立ちまくった人物が大量に輩出された。

私は今まで結構いい加減な勉強しかしてこなかったので、
今になってカクヨムで五胡十六国&南北朝時代を勉強中。
本作に示された「胡漢融合」は大好きなテーマの1つで、
宋代元代の異民族の漢化と対比するとまた興味深かった。

とにかくすごく楽しい。崔浩先生の毒舌がお茶目で素敵。
やっぱり中国史はよい。同姓だらけで紛らわしいけどよい。
英雄(かもしれない人々)が立派じゃないところがよい。
「バカな子ほどカワイイ」から、無関心ではいられない。

★★★ Excellent!!!

――

崔浩先生の言葉を借りての、容赦なく実情をぶったぎった人物評に大笑いしました。
身も蓋もなくぶっちゃけてしまえば、そんなもんか。
さすが、宇宙大将軍なんて人が出てくるような時代です。

他の方の複数のレビューでも言及されていますが、「良質でかつ簡単な歴史物語は必要だと思うんです。それがあってはじめてその時代への興味の門戸は開かれると思う。」というのが、まさにど真ん中。
なのでカクヨムには、歴史時代伝奇ジャンルを冷遇するのではなく、そのジャンルの書き手、読者、ジャンルそのものを育てるような方策を講じて、なろうとの差別化をはかってほしいなあとか個人的に思ったりします。

★★★ Excellent!!!

――

五胡十六国時代。それはあまりにも有名な「三国志」時代の後、三国を滅ぼして中華統一した晋を起点に語られるごりごりの暗黒時代のこと。

で、三国志の陰に隠れてなかなかにマイナーなわりに、出てくる人がもれなく殺し殺されを繰り返しちゃう凄絶すぎるこの暗黒史を“崔浩”というキャラクターが紹介してくれるのがこの作品。

物語は崔浩さんの口述体で語られていきますが。彼の古語調でありながら軽妙な語り口と、歴史をざっくりとりまとめつつ要点を押さえた説明に、読んでいる側は思わず「え、これってどうなっていくの?」とページをスクロールし、次のエピソードをクリックせずにいられません。

なんでしょう、事実は小説よりも奇なりそのものって言いますか。
言ってしまえば超大規模なヤクザの抗争劇を見ているような気分を味わわせてもらえます。

確かな筆で語られる、狭間の歴史絵巻。
中国史のおもしろさを再確認させてくれる解説書なのです。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

★★★ Excellent!!!

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あの中国史でいちばん有名な『三国志』の時代から、『隋』がふたたび中華を統一するまでには実に400年近い開きがあります。
じゃあその間はなんだったのか、といわれれば、当講座で取り上げられている『五胡十六国時代』、加えて『南北朝時代』と呼ばれる、史上まれに見る混乱期だったということができます。
私は中国史が好きでこのあたりも調べたことがあるのですが、いやあほんとこの時代はカオスといいますかなんといいますか。

そんな時代についての講座で語り部をつとめる崔浩先生の軽妙かつ辛口な評価は、歴史の流れを知ってる人ならばうんうんと頷き、笑うことうけあい。
そしてこれまでこの時代のことについてよく知らなかった、という人への取っ掛かりともなってくれるでしょう。
特に第五席はよくぞここまでまとめなさったと感嘆せずにはいられません。

中国には秦王政の時代や三国志以外にも刮目すべき戦乱の時代があった――ということをなんとなくでもいいので味わってみてください。

個人的には当講座で「基本的に忘れてよい」とバッサリ切って捨てられている南朝側の解説、とくに侯景宇宙大将軍にツボってしまいました。
い、一時は己に従わない者はいないと豪語するほど圧倒的でしたから
それはともかく、私はそんな南朝側の、内輪もめで蝕まれていくどうしようもなさがとても人間臭くて、たまらなく好きです。

★★★ Excellent!!!

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「五胡十六国時代」。
確かに他のキラキラした王朝、例えば漢や唐といった派手な統一王朝からすると、地味でスルーされがちな時代である。
「大漢帝国」「大唐帝国」と麗々しく称される漢や唐にひきかえ、大方の人にとっては「あったっけそんな時代?」「何だかごちゃごちゃしているって感じ?」、挙句の果てに「知っているよ、五代十国でしょう☆」とよく間違えられている不憫な子、それが「五胡十六国」といえる。
まあ、ワラワラ侵入してきた異民族の名は覚えにくいし、国はコロコロ変わるし、ねえ…。
だがしかし、この不憫ちゃんは、南北朝と合わせのちの隋・唐の揺籃ともなる重要な時代でもある。

この作品はそんな「五胡十六国」を崔浩先生がわっかりやすく、楽しく解説してくれる。先生の漢文調と現代語朝が絶妙にブレンドされた語り口と上手い譬えに乗っかって、ぜひこの時代を探検していただきたい。私は読んでいてその当を得た比喩に、何度かパソコンの前でフイた。
読了すれば、「漢から隋に華麗にスルー☆」なんて二度とできなくなることウケアイである。

また、末尾に付された「良質な歴史もので入り口を広げる必要性」について、私はヘッドバンギングよろしく頷いた。
「歴史ものってこんなに楽しくて醍醐味溢れているよ!」と人々に伝えたい気持ちは私も同じである。それは、私自身もかつて歴史への入口を指し示してくれた人々や良作に出会ったからこそ、いま歴史ものを読み書きしているわけで、何とか少しでも良い入り口を用意したいと試行錯誤中だからである。

ともかくも、
「五胡十六国はたべられるし美味しいよ♪」
そして
「五胡十六国、恐ろしい子…!」なのです、諸兄諸姉。