華やかじゃないけどおもしろい! 五胡十六国時代の解説書

五胡十六国時代。それはあまりにも有名な「三国志」時代の後、三国を滅ぼして中華統一した晋を起点に語られるごりごりの暗黒時代のこと。

で、三国志の陰に隠れてなかなかにマイナーなわりに、出てくる人がもれなく殺し殺されを繰り返しちゃう凄絶すぎるこの暗黒史を“崔浩”というキャラクターが紹介してくれるのがこの作品。

物語は崔浩さんの口述体で語られていきますが。彼の古語調でありながら軽妙な語り口と、歴史をざっくりとりまとめつつ要点を押さえた説明に、読んでいる側は思わず「え、これってどうなっていくの?」とページをスクロールし、次のエピソードをクリックせずにいられません。

なんでしょう、事実は小説よりも奇なりそのものって言いますか。
言ってしまえば超大規模なヤクザの抗争劇を見ているような気分を味わわせてもらえます。

確かな筆で語られる、狭間の歴史絵巻。
中国史のおもしろさを再確認させてくれる解説書なのです。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

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